聖書箇所-出エジプト記20:1~17

◇第1戒「3:あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない」。聖書の神は唯一の神である。人間はとかく願望や欲望を神とする。願望は無限に多いから八百万の神々となる。そういう人間的な多神教の否定が第1戒である。

◇第2戒「4:あなたはいかなる像も造ってはならない」。人間の欲望を神とする偶像礼拝をする者には「5:わたしを否む者」として、「父祖の罪を子孫に三代、四代までも問う」と厳しく呪われるが、「6:わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える」と祝福は限りない。ブレない「一神教」信仰は、まだ見ぬ遠い子孫のためにも意義あるものとなるのだ。

◇第3戒「7:あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」。みだりに唱えるとは、自分の利益や主張のために神を利用することだ。「神にかけて誓う」などと言うのは絶対に避けなければならない。

◇第4戒「8:安息日を心に留め、これを聖別せよ」。天地を造られた神は、時間も造られた。「10:七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない」。神の時間の中で、働き続ける毎日ではなく、日曜日に日常生活の中断をするのは、人生の終わりの中断に備えることでもある。

◇第5戒「12:あなたの父母(ちちはは)を敬え」。言い換えれば、「子は親を軽んじてはならない。親は子に軽んじられてはならない」。子は親によって権威というものを学び、謙虚を身に着ける。親は子に権威というものを教えねばならない。それには親自身が「神の権威」を絶対的に遵守することだ。

◇第6戒「13:殺してはならない」。創世記9:6「人の血を流す者は/人によって自分の血を流される。人は神にかたどって造られたからだ」。命は神の被造物という原理が、命を軽んじる「倫理崩壊、モラルハザード」から人間を守る。

◇第7戒「14:姦淫してはならない」は、神の前で結ぶ結婚の「契約」を厳守することである。第8戒「15:盗んではならない」は所有権の尊重。第9戒「16:隣人に関して偽証してはならない」。正義を歪める自己絶対化は悪である。

◇第10戒「17:隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない」は、必要以上に欲しがることの禁止によって、社会生活を安全に生きる権利が保証される。

◇これらの戒めを「敬神愛人」(マタイ22:37-40)にまとめたのが主イエスにほかならない。

                              大村 栄